W-CDMA (Wideband Code Division Multiple Access)

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3GPP 技術仕様用語集

W-CDMA や 3GPP を理解するために・・・

第三世代携帯電話とIMT-2000

現在日本で運用されている携帯電話の規格としては、PDC(Personal Digital Cellular)という規格と、CdmaOneという規格の2つがあります。

PDCはDoCoMo(i-mode含む)、J-Phoneグループ、Tukaグループが採用していますが、基本的には日本固有の規格です。
このため、日本国内では使用できますが、海外では使用できません。

CdmaOneはau(旧IDO)が採用していますが、アメリカの一部や韓国・香港・オーストラリア等でも使用している規格です。(厳密には各国毎に少し違いはありますが)
CdmaOneはアメリカのQualcomm社が元の規格を作成したため、ある意味一企業に独占された規格でもあります。

アメリカではIS-95(CdmaOneの事です)とIS-136が主に使用されています。
一方ヨーロッパにおいてはGSM規格というものが主流で、アジアの一部もこれが使用されています。
世界的にみると、このGSMが最も広く使用されているようです。

このPDCやCdmaOne, IS-136, GSMは第二世代携帯電話と呼ばれていて、1991年頃から仕様が策定され普及が始まりました。
これらはまとめて第二世代携帯電話(2G)と呼ばれ、ディジタル通信方式を使用したシステムです。

ちなみに第一世代はアナログ携帯電話で、TACS,AMPS,NTT方式等の規格がありました。

さて、第二世代携帯電話(2G)が出始めて10年がたち、第三世代携帯電話(3G)の登場が期待される訳ですが、この3Gは以下のような特徴を持つべきであると考えられています。

この3Gの規格を策定するにあたりITUという国際標準機関が中心となり、1990年代半ばからIMT-2000 という名前で呼ばれる世界共通で使用できる3G規格の検討が始まりました。

実は2Gを含めて従来の移動体通信規格のほとんどは固定データレートでした。
つまり、音声用に開発されたシステムで画像を送るにはデータレートが低すぎたし、逆に画像を送れる程の高データレートのシステムは同時に通信できる数が限られてしまい、携帯電話のような大容量にはできませんでした。
しかし、3Gでは低データレート通信から高データレート通信まで、1つのシステムでいろいろなデータレートを同時にサポートする必要があります。
音声だけの場合には今と同じようなデータレートで十分ですが、静止画像を送る場合にはもっと大きなデータレートが必要となります。
更に動画となるともっと大きなデータレートを必要とします。
このように複数のデータレートをサポートする事で、音声・データ・動画像等が混在するマルチメディア通信が実現できるのです。

W-CDMAと3GPP

W-CDMAはIMT-2000の候補の1つとして提案されました。

W-CDMAは、基本となるCDMAを広帯域にして高速化やマルチデータレートを実現しようと考えた日本やヨーロッパが別々に提案しました。
日本の提案とヨーロッパの提案は同じW-CDMAという名前を持っていたにもかかわらず異なるものでしたが、W-CDMAのIMT-2000への採用を目指す関係者は両者の統一を目指す事にしました。
この統一を行う組織を3GPPと名づけました。
この3GPPは、広帯域CDMAを利用する3Gの具体的システム仕様策定のため、GSMを成功させたETSIのメンバーが中心となって発足した組織です。
これにより3GPPでは、日本案とヨーロッパ案の統一を行いましたが、GSM陣営が主導権を握っているため、既存GSM網にW-CDMAのアイデアを取り込む事が強く意識されています。
そのため、日本案よりもヨーロッパ案が主に採用されるという形が多くなってしまいました。
3GPPには各国の標準化団体(日本の ARIB TTC ヨーロッパの ETSI アメリカの T1等)が参加しています。

これに対して米国を中心とするIS-95陣営は3GPP2を発足させました。
この3GPP2はCdmaOneを広帯域にしたCdma2000という規格を推進しています。
3GPP2には ANSITIA 日本の ARIB TTC 等が参加しています。
(日本のARIBやTTCはどちらにも参加しています)

どちらも基本的にCDMAの技術を使用していますが、実はこの基本のCDMAの特許に関してヨーロッパに本拠地を置くERICSSON社とアメリカの Qualcomm社はお互いに特許侵害の提訴合戦を行っていたため、規格を統一するのはおろか基本的なCDMA技術の使用に関しても困難ではないかという状態が続いていました。
しかし、1999年の春のERICSSON社Qualcomm社との合意を受けて、これらの不安が払拭され、2つの規格の統合を図る事になりました。

これにより3GPPでは3GPP2の規格も取り込んで、新しい3GPP規格を策定する事になりました。
これはOHG (Operators Harmonization Group) と呼ばれるグループにより仕様の統一化により実現しようという物でした。
そのため、物理レイヤの変更を含めて大きな仕様変更が行われました。
たとえば4.096MHz の拡散レートだった物が 3.84MHz に変更となり、また、1フレーム 16 スロットだった物が15 スロットに変更になりました。

3GPP2も3GPPからの規格をとりいれる事により、3GPPと3GPP2を統一した形を目指す事になりました。

これにより一見すべての規格が統合され1つの統一規格となったように感じられるかもしれませんが、しかし話はそれほど単純ではなかったのです。

実際に策定された規格は、色々な通信事業者やメーカの思惑・過去の資産の都合から、統一規格の中身は大きく3つの方式に分かれています。

これらは、上位レイヤの互換性を図ろうと努力したものの無線通信方式など下位のレイヤは異なっています。
そのため、規格的には1つであるものの、「TDDのシステムにFDDの端末は繋がらない」といった互換性レベルの問題が存在しています。
結局3Gでの目標であった世界共通規格は4Gへの持ち越しという事になってしまったようです。

FDD方式は、NTT DoCoMo の「FOMA」で使用している方式で、ヨーロッパも含めて最も広い地域で検討されているようです。
TDD方式はヨーロッパの一部で検討されています。また中国ではこの方式に近い別方式を採用しているという事です。
MultiCarrier方式は Cdma2000 の方式で、アメリカや日本の一部でその実験が始まっています。

現在3GPPには中国・韓国をも含む世界中の携帯電話事業者、通信機メーカーが参加し、世界で広く利用できる携帯電話の実現に向けて議論を続けています。
しかし主導権をGSM陣営が握っている事もあり、現在決められている3GPPの上位レイヤは、GSMの上位互換になっています。
これは、GSMの資産をできるだけ使用したいというヨーロッパの意向を反映しているようです。
3GPPでは上位レイヤはGSM以外についても使用できるようになっていますが、非GSM網への適用についてはまだ調整段階です。

ARIB方式W-CDMA(3GPP以前の規格)

3GPPができる以前に日本(ARIB)が提案したW-CDMA方式はDoCoMo方式とも呼べる方式ですが、実は現在3GPPで採用されているW-CDMA(FDD)方式とは、まったくの別物と言っても良いのです。
同じW-CDMAという名前になっているので、日本が提案した物がそのまま規格として採用されているように思われがちですが、現3GPP仕様はヨーロッパが元々提案していたWCDMA方式(ハイフンが入ってません)をベースにしています。
そのため、1999年の春 を境に、日本ではそれ以前のW-CDMA規格(ARIB規格)とそれ以後のW-CDMA規格(3GPP規格)とは、まったく別物と考えてた方が良いでしょう。
古い仕様は、あえてDoCoMo実験仕様、という言葉を当てて区別している場合もあります。
ですから、実験仕様用の物は、そのほとんどが現3GPP仕様とはまったく互換性の無い物になっています。
昔からW-CDMAの開発をやっている所ほど、現状のW-CDMAへの対応が遅れてしまっているのかもしれません。
学会や展示会などでは、今でも実験仕様の規格・器材をもってW-CDMAと称しているのをよく見かけます。
たとえば、拡散レートが 4.096MHz となっているもの等は、現在の仕様ではありません。
(たとえば、NTT DoCoMoの解説ページなどでさえも、いまだにそんな数字を出している場合があるので、ご注意下さい。)

3GPPの現状

現在3GPPの規格はリリース1999 とリリース4およびリリース5の3つになっています。

R1999の方は、1999年を目標に規格が検討されましたが、色々な問題で遅れに遅れて2001年になって、やっと規格が安定してきた所です。
DoCoMoのFOMAはこのリリース1999の規格をベースにしているため、ある意味で日本向けに急いで固めた仕様と言っても良いです。

リリース4やリリース5はその後の世界共通化を実現するための本当の3Gの規格となっています。
リリース1999の実験運用の結果等を見ながら規格が詰められているようです。

日本は2001年秋からDoCoMoが本格的な運用に入り、少し遅れてJ-Phoneが2002年から運用に入るようですが、どちらもリリース1999で運用を始めるようです。
その後、リリース4や5の様子を見ながら、バージョンアップを行っていくのではないかと思います。

一方ヨーロッパは2002年あるいは2003年の本格運用を予定していますが、電波利用の入札で膨大な資金を投入してしまった通信事業者や、不況に陥ったメーカの事情もあり、なかなか本腰が入らないのが実情のようです。
日本のDoCoMoの様子を見ながらどうするかを検討している、というのがヨーロッパの本音のようです。

最初は完璧な規格であった3G規格も結局は完全に統一化する事もできず、当初の計画から大きく遅れた事もあり、現時点では雲行きがあやしくなっています。
更に、世界的な不況という環境もあり、3Gへの移行はもう少し遅くてもいいのでは、という雰囲気があるのも事実です。

2Gの延命措置:2.5Gの登場

3Gの導入までまだしばらく時間がかかりそうだと感じている各国の通信事業者やメーカは、現行の2Gを長生きさせるために、2.5G(つまり、2.5世代。第ニ世代と第三世代の中間)という名前で、現行システムを改良して使用しようとしています。

たとえば、日本のいろいろな事業者で始まったパケット通信機能や、インターネット接続機能は2.5Gとして認識されています。




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